口腔癌を始めとするがんの多くが、その悪性化の過程で宿主の免疫チェックポイント機構を抑制し、自身の生存や増殖を促進することが判っています。それらの作用機構を標的とする治療薬の開発が現在様々な研究室や企業で進められています。
我々の研究室では、口腔扁平上皮癌の動物モデルの作出を行っています。具体的には低転移型のマウス口腔扁平上皮癌Sq-1979を元に、Sq1979移植マウスから頸部リンパ節高転移型の細胞株を樹立し、この動物モデルを実験に用いています。それらを用いて、悪性度の低い口腔扁平上皮癌細胞はIL-1αというサイトカインを放出し、間質の線維芽細胞(CAF)を介して刺激リンパ球を抑制することが判明しました。一方、高転移型の、悪性形質の高い癌細胞は、それとはまったく異なる機構で、移植マウスに骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)を誘導し、強力な免疫抑制作用をもたらすことが示され、現在その機構の解明を進めています。
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