朝日大学 歯学部 口腔感染医療学講座 社会口腔保健学分野研究室

研究室紹介

研究室紹介

主任教授挨拶

「金を残すは下、名を残すは中、人を残すは上」という、理想的な組織のトップの生き方を示した名言があります。この言葉は、教育者のあるべき姿に通じます。すなわち、私のミッションは、朝日大学において、予防歯科の学問や臨床、および地域活動を担う次世代の「人を残す」ことであると考えております。

1.学部教育

歯科の疾病構造が変化し、歯科医師の果たすべき役割は、旧来の診療室完結型歯科医療(治す歯科医療)から地域完結型歯科医療(治し支える歯科医療)にシフトしてきました。また、国民のQOL向上に対するニーズの変化、高度化に伴い、歯科医師も地域包括ケアシステムへの参入が不可欠な状況です。このような時代の変化に対し、予防歯科の教育は、“従来の齲蝕予防や歯周病予防の教育”から“周術期医療や在宅医療における口腔の定期管理(口腔衛生管理、口腔機能管理、服薬管理等)”へと転換する必要があると、私は考えております。そのために、系統講義による予防歯科のスタンダードな知識の習得だけではなく、地域社会で口腔の定期管理ができる歯科医師の育成を、Learning management systemを活用した統合講義(Team based learning等)で行っています。

2.卒後教育

地域歯科保健のできる歯科医療従事者(歯科医師、歯科衛生士等)の育成を目標にします。具体的には、研修会、情報交換会等を定期的に行い、①歯科口腔保健に関する知識等の普及、②定期的に歯科健診を受けること等の推奨、③障害者が定期的に歯科健診を受けること等のための施策、④歯科疾患の予防のための措置、および⑤口腔の健康に関する調査および研究の推進等を、地域社会において実践し、貢献できる歯科医療従事者の輩出に努めます。このことは、各種認定医資格の取得にも直結すると考えています。

3.大学院教育

次世代の予防歯科を担う科学者を育てます。「良い科学者には3つのが揃う」というのが私の持論です。3つのCとは、Curiosity(好奇心)、Challenge(挑戦)、Continuation(継続)の頭文字のことです。なかでも、Curiosityは最重要です。よって、近未来の臨床にフィードバックできるような研究(予測医療研究、核酸創薬等)を展開しながら、成功体験(国内外における学会発表、論文発表)を一つずつ積むようにします。また、大学院を修了することがゴールではなく、大学教員や行政職への道が拓けるよう、キャリアパスとしての機能の充実も図っています。

以上をもって、朝日大学の建学の精神に基づき、社会性、創造性、人間的知性に富む人材の育成に努めています。

研究内容の紹介

予防歯科の進歩と発展は、疫学研究と基礎医学研究の上に成り立っています。私達の研究のキーワードは、“予測医療”、“核酸創薬”、“抗加齢医学”、および“医療・介護分野における実態調査”です。よって、当研究室では、これらの研究キーワードに関連する疫学研究と前臨床試験を、学内外の先生方とコラボレーションしながら展開しております。なお、主な研究テーマは以下の通りです。

1.歯周病の進行を予測できる唾液バイオマーカーの検索  

歯周病は、無症状に進行し、臨床症状が現れたときには不可逆的な病態を示します。それゆえに、私達は、歯周病の進行を未然に防ぐためには、“歯周病の有無”ではなく、“歯周病の発症や重症化を予測できる”検査技術の開発が必要と考えております。
近年、発症予測・予後予測を可能とするバイオマーカー(人の身体の状態を客観的に測定し評価するための指標)が、生体内分子の網羅的解析によって誕生してきました。この技術は、歯周病の発症や重症化を予測できるバイオマーカーの開発にも応用できると推測されます。そこで、歯周病の進行の有無をアウトカムとしたコホート研究に着手し、唾液遺伝子の網羅的検索によって、歯周病の発症前診断や重症化予測に有用なバイオマーカーを特定しています。

2.歯周病をターゲットとした核酸医薬品の開発

 核酸医薬品とは、mRNAやmicroRNA(遺伝子の転写後発現調節に関与する1本鎖RNA分子)を標的分子とした医薬品です。過去の研究から、歯周組織におけるmicroRNAの発現が、歯周病の進行に深く関与することが分かってきました。そこで、前臨床試験を用いて、歯周病をターゲットとした核酸医薬品の開発を目指しています。

3.歯周病予防ワクチンの開発

歯面ペリクルを構成するヒト唾液タンパクであるプロリンリッチプロテイン(PRP)およびスタセリン由来ペプチドが、実験的口腔内歯面モデル(in vitro)において、歯周病原菌の歯面への初期付着を阻害することが報告されています。この効果は、歯周病の発症予防につながると考えられます。しかしながら、これらヒト唾液タンパク由来ペプチドのヒト口腔内への臨床的応用時における有用性についてはエビデンスが皆無です。そこで、ボランティアを対象に、ヒト唾液タンパク由来ペプチド含有洗口液による歯周病原菌の歯面定着阻害効果を検討しています。

4.電解中性水による洗口の口腔内細菌への影響

 食塩水を電気分解して得られる電解水は、高い殺菌効果を有することが知られています。なかでも、電解中性水は生体への危害作用が小さいため、洗口・含嗽水としての応用が期待されます。しかし、電解中性水の洗口による口腔内細菌への影響についてはまだエビデンスが少ないのが現状です。そこで本プロジェクトでは、ボランティアを対象に、電解中性水の洗口による口腔内細菌への影響を検討することを目的としています。

5.グルタミン酸誘導体ナールスゲン含有ジェルおよびマウススプレーの歯肉炎予防効果の検討

 グルタチオン酸誘導体ナールスゲンは、基礎研究において、抗酸化作用やコラーゲン産生促進作用があることが知られています。また、皮膚科の領域では、ナールスゲンは保湿や組織修復を高める素材として臨床応用されています。これらの効果は、歯肉炎の発症予防につながると期待されます。そこで、本プロジェクトでは、在宅療養患者を対象に、ナールスゲン含有ジェルおよびマウススプレーによる口内炎の発症予防効果を検討しています。

6.大学病院、福祉施設における口の健康と全身の健康との関連の検討

 朝日大学病院や口腔健康管理を受けている在宅療養患者の健診データ等を用いて、口腔機能を含めた口の健康と全身の健康との関連を調査、分析しています。

活動内容の紹介

2019年6月14日-16日
第19回日本抗加齢医学会・総会(神奈川県横浜市)に参加しました(友藤)。

2019年5月22日-24日
第68回日本口腔衛生学会・総会(滋賀県大津市)に参加しました(友藤・東・尾崎)。

2018年8月20日
第65回全国歯科大学口腔衛生学教授協議会(東京)に参加しました(友藤)。

2018年8月9日
平成30年度ICT利用による教育改善研究発表会(東京)に参加しました(友藤)。

2018年8月8日
デンタル(姫路開催)の応援に行きました(友藤)。
一体感になれるのはいいですね。準硬式野球部の皆、有難う!

2018年8月4日
岐阜市内のホテルで花火の鑑賞会を行いました(友藤ほか)。

2018年8月1日、2日
社会歯科医療研究会の夏合宿に参加しました(友藤)。妙高こども園(郡上八幡)での学生と園児との共演は新鮮で、大変貴重な体験となりました。

2018年7月29日
日本口臭学会第9回学術大会(松本歯科大学)に参加しました(友藤)。

2018年7月27日、28日
第37回日本歯科医学教育学会総会および学術大会(奥羽大学)で、口演発表を行いました(友藤)。

2018年7月25日
科学研究費助成事業説明会(岐阜大学)に出席しました(友藤)。

2018年7月13日
竹下 玲 先生(明海大学)が来学されました。
竹下先生には、学部学生の講義を担当して頂きました(大変勉強になりました)。

2018年7月5日
第55回ITを活用した教育センター会議(岩手医科大学)に参加しました(友藤)。

2018年7月13日
「つまようじ法」臨床セミナー(千里ライフサイエンスセンター)で講演を行いました(友藤)。