LA1600を利用した、高周波発振器の製作


サンヨーの LA1600 という IC を利用して、高周波発振器を作ってみます。

この LA1600 というのは、本来は、AMラジオ用の IC で、高周波増幅、局部発振、周波数変換、中間周波増幅、AM検波、AGC のすべての機能が収められた、オールインタイプの便利な IC です。中波帯のみならず、短波帯まで使用できる IC です。

この IC のうち、局部発振の部分を用いて、高周波発振器を製作します。回路は以下のようになります。

単なる高周波発振器ならば、トランジスタ一個を用いてコルピッツ型の発振器でも作ればいいのですが、かなり 広い範囲の L に対して発振させるようにしようと思うと、コンデンサーの組み合わせを経験的に決めなければ なりません。それに対し、LA1600 の局発部分を利用すれば、何もしなくても広範囲の L の値に対し発振して くれますので、簡単です(ただし、波形がきれいな正弦波にならないことはある)。また、LA1600 を用いた場合、 電源電圧が相当低くても発振してくれると言うメリットもあります。実験では、1.25Vでも安定に発振していました。

これだけでは芸がありませんので、もう一工夫することにします。単なる高周波発振器では、ラジオで聞いていても 何も音は聞こえません。それで、キャリアに AM 変調を掛けることにしました。変調は、基本的には周波数変換 と原理は同じで、高周波と高周波を混ぜるのが周波数変換なら、高周波と低周波を混ぜるのが変調ですから、 LA1600 の周波数変換回路を利用できないか、と考えたわけです。LA1600 の1番ピンと2番ピンには、高周波を 差動入力するようになっているのですが、ここに強引に低周波を入力してみます。また、本来は2番ピンと グランドの間に0.01μFのパスコンを入れるのですが、高周波増幅回路は動作させなくていいので、パスコン は入れません。ということで、ちょっと荒っぽいのですが、このような方法で低周波を入力した結果、 キャリアに軽い AM 変調がかかることが分かりました。変調度はかなり低いのですが、それでも、 短波ラジオで聞くと、ちゃんと音が聞こえます。VR は、変調度の調整用 です。高い周波数帯で発振させているとき、あまり大きな低周波入力を加えると高周波の発振が止まることが あるので、レベルを調節するために入れたわけです。ただし、実際には、1kΩの固定抵抗でもかまいません。

周波数変換回路を利用して変調をかけるという、強引極まりない方法ですので、振幅と同時に、周波数も 相当変動しているようです。言わば、AM 変調と FM 変調を同時にかけているようなものです(FAM 変調と でも言えば良い???)。


私は、以下のような回路を作り、100円ラジオのケースに組み込んで使っています。変調用の低周波は、 簡単な移相発振回路で組んでいます。使用するトランジスタはいずれも 2SC1815 です。

上の回路図では、コイルは L1 と L2 の2つをスイッチ SW2 で切り替えるようになっていますが、実際には、 ジャンパーピンを用いて7つのコイルを切り替えています。これで、約 600kHz から 22MHz 程度までの 範囲をカバーしています。バリコンの容量範囲がはっきりとは分からないのですが、コイルのインダクタンスと 周波数可変範囲を表にすると、大体、以下のようになりました。

インダクタンス(μH)周波数可変範囲
1μH10.5〜22.5 MHz
3.9μH5.6〜11.0 MHz
10μH3.3〜5.8 MHz
22μH2.2〜3.7 MHz
47μH1.5〜2.4 MHz
100μH1.0〜1.4 MHz
220μH620〜900 kHz

ちなみに、コイルの値はもっと大きくしても発振します(ただし、波形はかなり歪み、方形波に 近くなる)。例えば、コイルを 2.2mH とした場合、発振周波数範囲は、140〜180 kHz となりました。 それ以上大きい値のコイルでは実験していませんが、まだもう少し低い周波数までは行けそうです。

コイルと並列に入っている2.2kΩは、Qダンプ抵抗です。この抵抗はなくても動作しますが、発振波形を 正弦波に近づけるためと、変調をかけ易くするための両方の目的で入れています。抵抗値が小さすぎる と発振が止まってしまいますし、大きすぎると入れた効果が出ないので、オシロスコープで発振波形、 変調波形を見ながら、最も良い値に合わせると良いでしょう。尚、SW1 の ON/OFF で、変調の有無を 決められます。


写真1 製作した高周波発振器の基板です。


写真2 同上。


写真3 コイルとして 1μH を用いたときの発振波形。約 24 MHz で発振しています。


写真4 コイルとして 220μH を用いたときの発振波形。約 675 kHz で発振していますが、発振波形はあまりきれいではありません。


写真5 コイルとして 1μH を用い、変調をかけた時の波形。キャリアの周波数は約 23.6 MHz、変調波の周波数は、約 1 kHz。


写真6 コイルとして 220μH を用い、変調をかけた時の波形。キャリアの周波数は約 660 kHz、変調波の周波数は、約 1 kHz。


写真7 ドリルの刃に巻いて作った空芯コイルで、発振可能な最高周波数の実験中。


写真8 結局、55 MHz が限界でした(電源電圧 3V の場合)。


写真9 出来上がった発振器を、100円ラジオのケースに組み込んだところです。


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