100円FMラジオを利用した、短波ラジオの製作


100円FMラジオを利用して、短波ラジオを作ってみます。

この100円FMラジオにはサンヨーのLA1800というICが使われています。このICは、AMとFM両用になっているのですが、 オリジナルのFMラジオでは、そのFM部分だけを使っています。

この実習では、逆に、100円FMラジオのLA1800の、空いているAMの部分を使って、短波ラジオを作ろうというものです。


もとのFMラジオの回路図は以下の通りです。


作るべき、短波ラジオの回路図は、以下の通りです。元のFMラジオの部品を一部利用します。利用しない部品は外して しまうのがすっきりしますが、部品を外すのは結構な手間ですので、邪魔にならなければ、残しておいてもかまいません。

増設するのは、L5と書かれたコイル(10μH)と、C30と書かれたコンデンサー(104 つまり、0.1μF)、R30と書かれた抵抗(100Ω)の わずか3つだけです。このうち、R30はもとのL2を交換して取り付けます。

利用するICであるLA1800について少しだけ説明しておきますが、22ピン仕様の物と、24ピン仕様の物とがあるようです。 100円FMラジオに使われているのは24ピン仕様の物で、12ピンと13ピンはNC(No Connection、つまり、空きピン)なので、 結局22ピン仕様の物と実質的には同じになります。

この、24ピン仕様のLA1800において、17ピンをアース(グランド)に落とすと、FMモードになります。一方、これをオープン (どこにもつながない)とすると、AMモードになります。

AMモードの場合、24ピンとVcc(電池の+)との間に同調回路を入れます。同調回路は、コイルとバリコンとで構成 されますが、バリコンはもとのFM用のバリコンを流用します。

コイルは、10μHのインダクターを使います。これを他の値にすると、聞ける短波の周波数が変わります。 この例のように10μHとすると、大体、8-11MHzぐらいの周波数範囲となります。8.2μHにすると、大体、9-12MHzぐらい になります。本当は、トロイダルコアでも用いて、Q の高いコイルを作った方がいいのですが、実際には、普通の インダクターを使っても実用上問題なく動作します。

では、早速、作ってみましょう。


写真1 これが、100円FMラジオです。短波放送はAM方式ですが、用意するのはFMラジオです。


写真2 裏蓋を外したところです。


写真3 これが、FM/AM 受信用 IC の LA1800 です。写真では、IC のすぐ右上に W1 と書かれたジャンパー線 が見えます。これは、LA1800 の17番ピンをグランドに接続している線です。AMモードにするために、後で、これは外します。


写真4 バリコンのダイヤルを外し、基板のネジを外して、基板を取り出します。作業をやりやすくするために、 電池ボックスにつながっている線は一度外した方がいいでしょう。


写真5 基板裏面の様子です。


写真6 こちらは、おもて面です。


写真7 手前に、L3 と書かれたコイル(2.2μH)が見えます。その向こう隣に、同じコイルがあります。これが、 L2 です。これを取り外して、100オームの抵抗 R30 に取り替えます。


写真8 L2 を R30 に取り替えたところです。もとの FM ラジオは専用イヤホンで聞かなければならない(普通のイヤホン で聞くと、イヤホンをいためる)ですが、ここを 100オームに替えてやることで、普通のイヤホンでも聞くことができる ようになります。理屈上は、このようにすると、音が少し小さくなるはずですが、実際には、特に問題ありません。


写真9 次に、LA1800 を FMモードからAMモードに切り替えるため、W1と書かれたジャンパー線を取り外します。


写真10 ジャンパー線を取り外しました(基板上に白い線が引いてあるので、見間違いそうになりますが、 線は取り外してあります)。


写真11 その次に、C1、C2、L1 を取り外します(C2 は実際には R5 と書かれた所に付いていましたが、 とにかく、取り外します)。


写真12 C1、C2、L1 を取り外したところです。他にも不要な部品は多数ありますが、特に邪魔にはならないので そのまま残しておきます(もちろん、不要な部品は取り外してもいいのですが、結構な手間ですので、そのまま 放っておきます)。


写真13 写真で見て、R5 の右側の穴と、L1 の左側の穴との間に、L5 を取り付けます。私は、10μH の インダクターを取り付けました。これを他の値にすると、受信できる周波数範囲が変わります。 いろいろ実験してみた結果、10μHよりも8.2μHの方が多くの局が聞こえるようです(おそらく、31mバンド と25mバンドの両方をカバーするのだと思われる)。コイルを自分で巻きたい人は、もちろんそうしても構いません。 もし、受信周波数範囲を微調整したいときは、C2と書かれた穴に、1pFないし2pF程度のコンデンサーを 取り付けて、わずかに受信周波数を下げることも可能ですが、普通は、そこまでしなくても 大丈夫です。


写真14 ここまでできた状態での裏面です。


写真15 次に、0.1μH(104と書かれている)の積層セラミックコンデンサを一つ用意し、図のように足を曲げて切ります。


写真16 これを、図のように、LA1800 の23ピンとグランドの間に取り付けます。他の部分に接触してショート しないように、気をつけます。このコンデンサーは、LA1800 をAMモードで動作させるときに、AGC(Auto Gain Control; 自動利得制御回路)の時定数設定用です。メーカーの推奨回路図(中波受信用)では、0.47μFとなっていますが、 短波は中波よりもフェーディング(電波が時間的に強弱すること)の周期が短いと言うことと、0.47μFのコンデンサーは 大きくて基板裏面に取り付けにくいと言うことの両方の理由から、ここは、0.1μFを使うことにします。


写真17 拡大図です。LA1800 の23ピンとグランドの間に半田付けされています。


写真18 次に、短い被覆線を一本用意します。


写真19 これを、図のように、LA1800 の24ピンと、バリコンのホット側(アース側でない方)に取り付けます。


写真20 拡大図です。


写真21 写真で見て、C1 の左側の穴に、数十センチのビニール線を取り付けます。これがアンテナになります。本当は、 数10pFぐらいの小容量のコンデンサーを通してアンテナ線を取り付けた方がいいのですが、ここでは省略して、直接 ビニール線を取り付けています。


写真22 拡大図です。


写真23 ビニール線は、ケース横の小穴から引き出します。


写真24 一度外していた、電池ボックスへの配線を取り付けます。このとき、絶対に+−を間違わないように 取り付けます。分からなくなった人は、写真4を見てください。赤が+、黒が−です。確認したら、基板を戻します。 基板をネジ止めし、バリコンのダイヤルを取り付けます。また、ビニール線を外から引っ張っても抜けないように、 穴のところで結びます。


写真25 電池を入れます。


写真26 はい、完成しました。


うまく鳴りましたか?もし鳴らなかった人は、はんだ付け、部品の取り付け場所をよく確認してください。

外に出て、ラジオを聞いてみましょう。ダイアルを回してみて、何か入ればOKです。外国の短波放送が聞こえれば、 感動ものですね。短波は夜の方が良く聞こえます。夜になると、英語や中国語、ロシア語、韓国語の放送などが ばっちり聞こえますね。

ただし、ストレート方式ですので、選択度はあまりよくありません。夜など、4局ぐらいの放送が混信して 聞こえるときもあります。また、近くに特に強い放送局があった場合、ダイヤルのどこを回してもその放送が 聞こえてくる、いわゆる、「すり抜け」が起こることもあります。極端な場合、中波の放送が入ってくる ことすらありますが、簡易受信機ですので、まあ、ご愛嬌。


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