ノートPCを単3ニッケル水素電池
10本で駆動する




ノートPCを単3ニッケル水素電池10本で駆動する


 以前、ノートPCを単3乾電池で駆動する実験を行い、約30分間使用できることを確認しました。今回は単3ニッケル水素電池を用い て、さらに長時間駆動することを考えます。リチウムイオン電池が普及する前の古いノートパソコンでは、バッテリパックにニッケル水素電池を用いて いた機種が多数ありましたか ら、理論的には可能です。バッテリパック端子のピンアサインは前回の実験で調べましたので、特に問題はないものと思われます。



充放電回路の設計と製作


  前回の実験では単3アルカリ乾電池を用いましたので、充電回路について考える必要はありませんでした。しかし、今回の回路では単3ニッケル 水素電池を用いますので、充電と放電の両方を考慮する必要があります。

 ノートパソコンは、単3ニッケル水素電池10本を直列にして12(V)で駆動することとします。 駆動方法はバッテリパック端子への直接接続です。 詳細は「ノートPCをアルカリ乾電池で駆動する」をご参照ください。 また、充電器にはノートパソコンに付属していた16(V)出力のACアダプタを利用します。

 急速充電では電池の発熱やデルタピークの検出などの問題がありますので、通常充電とします。ただ、0.1Cの電流で充電すると満充電まで16時間もかか りますので、充電電流は0.2Cとして、満充電までの所要時間を8時間程度に短縮することとしました。これならば、一晩のうちに充電を完了 することができ ます。

 設計した充放電回路の主要部分は、以下のようになります。



 充電時には、ACアダプタより赤矢印に沿って電流が流れ、ニッケル水素電池を充電します。一方放電時には、青矢印に沿って電流が流れ、ノートパソコンに 電源が供給されます。この、充電時と放電時の電流の向きを制御しているのが、D6とD7の二つのショットキーバリアダイオードです。上記回 路ではさらに、ACアダプタとノートパソコンとを同時につないで、ニッケル水素電池を充電しながらPCを使用することも可能になっています。

 充電電流を制御しているのは、Q1とQ2とからなる定電流回路です。電流値は、Q2のBE間電圧0.6(V)をR4で割った値になりま す。ニッケル水素電池としてエネループ(容量1900mAh)を用いましたので、上述のように0.2Cの電流で充電するとすると、充電電流は約400 (mA)となります。従って、R4の抵抗値は1.5(Ω)と求められます。この抵抗は発熱しますので、1(W)物の酸金抵抗を用いるのが良いでしょう。

 上記の回路に色々な機能を追加した完成図が以下の回路です。




 充放電の完了を監視するために、D3およびD5の2つのLEDを設置しました。これらはツェナーダイオードと直列接続されており、ある一 定電圧以上でのみ点灯します。使用するLEDやツェナーダイオードの特性のばらつきがありますので組合せを選ぶ必要がありますが、本機ではおおよそ 10.5(V)以上で赤色LEDが、14(V)以上で青色LEDが点灯するようにしました。これにより、赤色LEDが消灯したら放電終了青 色LEDが明るく点灯したら充電完了と判定しています。なお、黄緑色LEDのD1は単なる電源のインジケータです。

 試作基板の写真を以下に示します。真ん中付近の四角いLED(緑のケースの中に黄色のLEDが入っている?)は電源のインジケータ、 下方中央の大きなLEDが放電終了判定用の赤色LED、その右隣の小さなLEDが充電完了判定用の青色LEDです。



 放電中の様子です。真中下の赤色LEDが点灯していますので、まだ放電終了まで余裕があります。



 こちらは充電末期の様子です。青色LEDが明るく点灯しましたので、ほぼ充電終止電圧に達していることが分かります。



 単3ニッケル水素電池10本を用いてノートパソコンを駆動しているところです。エネループ(公称1900mAh)でおよそ1時間半の駆動が可能です。






充電時の放熱対策


 この充電器は、充電中にトランジスタ(2SC4881)が相当に熱くなります。アルミ板の簡易放熱板を付けましたが、真冬でも以下の写真 のように60℃を簡単に超えてしまいます。真夏での実験はまだしていませんが、台湾に持って行って実験したときには表面温度が85℃まで上昇しましたの で、それくらいの温度にはなるはずです。充電完了までの8時間ずっと熱いままですので、トランジスタの過熱が心配です。



  そこで、小型の冷却ファンを設置しました。これにより、トランジスタの過熱は解消されました。静音性を重視してファンに直列に470(Ω) の抵抗を入れて回転数をわざと下げて使っていますが、これでも充分に冷却できています。






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