乾電池有効利用装置の製作



乾電池有効利用装置の製作


 デジタルカメラなど最近の電子機器は消費電力が大きいせいで、乾電池の電圧が1.2(V)程度まで下がるともう電池切れと判定してしまいます。しかし、 乾電池にはまだまだ電力が残っています。そこで、もう使い古しの乾電池を何とか有効利用できないかと考え、乾電池の余剰電力をニッケル水素電池に移 動する回路を考えました。

 と言っても原理は簡単で、乾電池の電圧をHT7750Aで5(V)に昇圧してやるだけです。HT7750Aは電圧0.7(V)まで動作しますので、乾 電池の電圧が0.7(V)に落ちるまでは電力を吸い出すことができます。HT7750Aにより一度5(V)に昇圧された電圧は、NJM2360に よる降圧回路によって定電流化されてニッケル水素電池を充電します。電流値IはR3の値によって決まり、NJM2360の6 ピンと7ピンとの間の電圧が0.3(V)という特性によって、I(mA)=300/R3(Ω)と定まります。以下の回路では、I=300/22=13.6 (mA)となります。C3とC4は低ESRコンデンサーとします。



 実際に製作した回路の写真です。右側のアルカリ乾電池(使い古し)から、左側のニッケル水素電池に充電しています。LEDはHT7750Aにより昇圧さ れた電圧を監視するために設けています。青色LEDは約2.8(V)ぐらいからかすかに光り始めます。つまり、アルカリ乾電池 が消耗してきてHT7750Aの出力電圧が低下してくると、このLEDが消えて知らせるという仕組みです。NJM2360の動作には最低2.4(V)が必 要ですので、LEDが消えると動作電圧ぎりぎりということになります。



 今のところ、R3=30(Ω)と22(Ω)をヘッダーピンで切り替えて充電電流を調節していますが、充電電流10(mA)や13.6(mA)ではニッケ ル水素電池の満充電までに相当時間が必要です。写真の単四型ニッケル水素電池は容量750(mAh)ですが、この調子では満充電まで丸三日ぐらいかかりそ うです。その間、何度かアルカリ電池を交換しなければならないかも知れません。少し休ませると電池は多少回復しますので、いくつかの電池をとっかえひっか えして極限まで電力を搾り取ります。充電完了の判定はないので、適当に頃合を見計らって電池を外します。

 気になる効率ですが、実測してみると思いのほか低かったのでちょっとがっかりしています。R3=22(Ω)での充電電流は実測で13.2 (mA)、その ときのニッケル水素電池の電圧は1.42(V)でした。一方、電力供給元のアルカリ電池の電圧は0.96(V)、電流はやや大きくて63.5(mA)も必 要でした。効率η=(1.42×13.2)/(0.96×63.5)=30(%) となります。チョッパーを二段接続していますので仕方ないのかも知れませんが、もう少し効率を上げたいものです。


2号機の試作

 1号機の効率が思いの外低かったので、別の回路を製作してみました。HT7750AはNJM2360の電源電圧を作るだけとし、充電電圧の昇圧は NJM2360一段で動作させる方式です。また、NJM2360のコイルはパワーインダクタに変えました。R2は小さめに取り、220(Ω)としました。
 定電流充電方式はあきらめ、定電圧充電方式としました。出力電圧は1.6(V)に設定していますが、必要があればVR1で可変できるようにしてありま す。充電電流はR4によって決まります。ニッケル水素電池は充電中は端子電圧が1.4(V)程度になりますので、NJM2360の出力電圧を1.6(V) に設定した場合、R4には0.2(V)の電圧がかかることになります。従って、充電電流は0.2/22=9(mA)程度となります。



 2号機の写真です。1号機を分解して作り直しました。



 実験結果ですが、端子電圧1.37(V)のニッケル水素電池を10(mA)で充電中のアルカリ電池からの入力電流は56(mA)、電圧は1.01(V) でした。効率η=(1.37×10)/(1.01×56)=24(%)と1号機よりもさらに悲惨な結果になってしまいました。やはり、この ような超低電圧からの昇圧は効率が非常に悪いようです。1号機を分解して2号機を作りましたので、また元に戻すのも面倒くさくなって、このまま使うことに してしまいした。


3号機の製作

  1、2号機の効率が思いのほか低かったので、3号機の製作に取りかかりました。低電圧で動作する昇圧用IC、AS1322を用いました。こ のICは入力電圧0.85(V)から動作しますので、アルカリ乾電池1本からでも充分に昇圧できます。また、出力電圧は2.5(V)以上となっていますの で、ニッケル水素電池2本を充電することにしました。



 このICは、ピッチが1(mm)です。そこで、見栄えはあまり良くないのですが、生基板に彫刻刀で切り込みを入れてパターンを作りました。



 ICを載せて半田付けしたところです。



 それを、さらに基板上に載せました。



 完成した充電器です。右側の単3アルカリ乾電池1本から、左側の単4ニッケル水素乾電池2本に充電中です。単3ニッケル水素電池2本に充電する場合は、 外付けの電池ホルダーを使います。



 気になる効率ですが、1.1(V)、56(mA)の入力で、2.8(V)、15(mA)の出力が得られました。効率としては、2.8*15/ (1.1*56)=68(%)です。これならまずまずでしょう。


ゼミ作品に戻る