著書「マネジメントの精神と構造」 

マネジメント力が日本の新たな発展をもたらす

 バブル崩壊以降の長引く不況の中、98年には山一證券、99年には長銀、その後、そごう、マイカル、それにゼネコンと大型倒産が相次いで起こりました。また、小泉政権は日本経済を立て直すため、不良債権処理などの構造改革を断行しようとしています。このような日本の低迷と、不況の原因は、企業、官僚、突き詰めれば個人の「マネジメント力」の不足にあるのではないでしょうか。

 私は長く企業に勤め、その後教師に転じました。しかし、社会人、企業人として仕事をしていく中で、大学を卒業して同じ条件で入ったにもかかわらず、仕事がよくできる人と、あまりできない人の差が出てくることに気がつきました。有名大学・難関大学を出た人、かつて優秀であった人が必ずしもよい仕事ができるとは限りません。逆に高校卒業でもよい仕事をして大卒を含む多くの部下を持つ人も数多くいます。

 なぜこのようなことが起こるかというと、よい仕事をすることと、学校でよい成績をとることとはやり方が違うからです。学校の成績は知識の量や確かさによって決まりますが、仕事は自分や他人の知識を使って適切な判断を行い、最終的に狙ったものを作り出せるかどうかで決まります。たとえ知識が豊富であっても、それを使いこなすマネジメントを知らなければ知識は何の役にも立ちません。

「マネジメントの精神と構造」(成文堂 ¥2,800)

 


 人間が自分の能力を発揮し、企業が経営資源を有効に使い成功裏に生き抜いていくために必要なものは「マネジメント力」である。そのマネジメントの本質を哲学的な考察を加え、わかりやすく解説。日本が世界に誇る自働織機を開発し、トヨタを創設した豊田佐吉を始め多数の事例を網羅。 ビジネスマンをはじめ全ての組織・団体人の必読書!



−目次−

まえがき
序章 マネジメントの必要性

第1章 マネジメント・マインド、メソッドウ
 1.1 マネジメントの重要性
  (1)長銀の破綻とそれを引き継いだ新生銀行の経営
  (2)経営者の低い人間性が山一をつぶした
  (3)カルロス・ゴーンの日産再生の経営
 1.2 マネジメント・マインド
   “人間の特性”をマネジメントに生かす
  (1)仏教から学ぶこと
  (2)キリスト教から学ぶこと
  (3)哲学(哲学者:ハイデガー)から学ぶこと
 1.3 マネジメント・メソッド
   “ものを作る方法”とマネジメント
  (1)デカルト、カント
  (2)ライヘンバッハ、ヘンペル、村上陽一郎、他
 1.4 マネジメントの展開
  (1)マネジメント展開の仕方
  (2)マネジメント展開の事例
第2章 企業のマネジメント
 2.1 “心”のマネジメント(野村證券 奥村綱雄の経営)
  (1)“コンセプト”と“目標達成へのシナリオ”
  (2)実施と結果の確認
 2.2 “仕組み”のマネジメント(セブン・イレブンの経営)
  (1)“コンセプト”と“目標達成へのシナリオ”
  (2)“プッシュ”から“プル”へ
  (3)情報ネットワーク
 2.3 “経営戦略”のマネジメント(GEの経営)
  (1)GE社の成立(1892〜1940年代)
  (2)「事業部制組織」の完成(1892〜1940年代)
  (3)「戦略事業単位組織(SBU)」の導入」(1970年代)
  (4)「事業の成長性」を考えた経営(1980年年代〜)
第3章
 3.1 三井高利のマネジメント
 3.2 豊田佐吉のマネジメント
第4章 マネジメントの展開まとめ