朝日大学歯学部
口腔病態医療学講座・歯科放射線学分野の紹介

 (1) 講座・分野のあらまし  
 

本教室は、勝又明敏教授をはじめ,講師,助教で構成されています。学部教育では、非常勤講師の先生方やOBの先生方に協力をいただき常勤教員を中心に歯科放射線学に関する講義、基礎実習および臨床実習を実施しています。
臨床では、歯学部附属病院の歯科放射線科で、各診療科からの依頼を受けて、口腔、顎顔面領域の画像検査と診断を行い、読影レポートを作成して依頼された担当医に報告しています。なお、本診療科には片木喜代治技師長をはじめとした診療放射線技師も参加しています。

歯科放射線学に関して、講義、実習および臨床研修それぞれの到達目標は以下の通りです。
【歯科放射線学の目標】
 歯科放射線学は、歯および口腔顎顔面領域における放射線の歯科医学的利用に関連する必要な知識と技術の修得を目的とする科目である。その目的に到達するために大きく4分野に分けられる。それぞれの一般目標は、(1)放射線を歯科医療で有効に利用し、それに伴う障害を防止するために、放射線の性質、影響および防護を理解する。(2)歯・口腔顎顔面領域の画像検査を適切に選択し実施するために、画像検査の特徴、種類、技術および適応を理解する。(3)適切な画像診断を行うための歯・口腔顎顔面領域疾患の画像所見の特徴を理解する。(4)口腔領域悪性腫瘍の放射線治療および治療患者の口腔管理の重要性を認識するために、放射線治療の基礎と実際を理解する。などであり、これらの4分野の目標を到達するために講義と実習が行われる。
【歯科放射線学基礎実習の目標】
 放射線とその防護、歯・口腔顎顔面領域画像検査と画像診断および放射線腫瘍学の4分野から成る歯科放射線学の中で、歯科臨床に必要不可欠な知識に基づく基本的な実習として、口内法およびパノラマX線写真の読影、口内法X線フィルムの読影と整理、X線撮影の説明などを行い、技能と態度を修得する。
【歯科放射線学臨床実習の目標】
 歯科臨床にて行われる画像検査と診断(読影)、特に口内法およびパノラマX線撮影法について実践し、口内法X線フィルムの読影と整理、エックス線撮影の説明などの技能と態度を修得する。 
【歯科医師臨床研修の歯科放射線科の目標】
 歯科臨床にて行われる画像検査と診断(読影)、特に口内法およびパノラマX線撮影法について実践する。さらに、他の画像検査と診断(読影)についても知識を習得する。

 
 (2) 研究テーマ、主な業績  
 

【主な研究テーマ】
1画像診断支援システムに関する開発
2.新しい画像システムの開発と臨床応用
3.歯・顎顔面領域の画像検査法並びに画像診断
4.摂食・嚥下障害の画像検査法並びに画像診断
5.オーラル・リハビリテーション・ロボットの開発

【主な業績】
1.研究論文など------約120
2.学会発表、シンポジストなど----約250
3.科研費などの採択-----------約20
4.著書(教科書など、分担執筆を含む)---約30
5.学会等の開催---日本歯科放射線学会総会など

 
 
 
 (3)教員紹介  
  (1)勝又明敏 教授
11期生(1987年入局)
現在何を中心に行っているか
1. 三次元画像の臨床研究応用(パノラマ三次元画像の開発と応用)
2.コンピュータ診断支援(CAD)システムの開発と応用
3. 摂食嚥下障害の診断と治療

4. オーラル・リハビリテーション・ロボットの開発
学会活動
日本歯科放射線学会・認定医/指導医・理事
日本口腔インプラント学会・基礎系指導医
日本摂食嚥下リハビリテーション学会評議員
日本顎関節学会評議員

(2)脇阪 孝 講師
9期生(1985年入局)
現在何を中心に行っているか
エックス線写真画像に関する研究
学会活動
日本医学写真学会・理事
日本歯科放射線学会・専門医

(3)松岡 正登 助教
11期生(1987年入局)
現在何を中心に行っているか
口腔・顎顔面領域の画像診断に関する研究
学会活動
日本歯科放射線学会員

(4)飯田 幸弘 助教
22期生(1998年卒・2002年助教)
2年間名古屋第一赤十字病院臨床研修歯科医師
平成12年4月本学大学院入学(歯科放射線学専攻、2年後中退して助手採用)  
現在何を中心に行っているか
1. 摂食・燕下障害のX線ビデオ診断
2. 口腔内乾燥症に対する唾液腺洗浄療法
学会活動
日本歯科放射線学会・専門医

(5)清水一郎助教
31期生(2007年3月卒・2011年助教)   
本学大学院歯科放射線学を専攻しながら矯正歯科も勉強
学会活動
日本矯正歯科学会

(6)その他
名誉教授 藤木芳成・藤下昌己
非常勤講師 10名

 
 (4)教育・研究上の特色  
 

歯科パノラマX線画像を基にした「診断支援CADシステム」は,岐阜大学と共同で開発を進めている。全身疾患である骨粗鬆症,動脈硬化につながる頸動脈の石灰化,および上顎洞炎のスクリーニングをおこない,結果の情報を歯科医に伝える。

 

 
 

パノラマX線画像三次元展開法は,法政大学および企業と共同で開発している。高速半導体検出器とトモシンセシス法に基づく技術で,撮影空間の位置座標を基に,歯の長さなどを正確に計測することができる。

 

 

 
  オーラル・リハビリテーション・ロボットの開発は、早稲田大学理工学術院との協同で実施された。その臨床応用では、愛知学院大学並びに鶴見大学歯学部の歯科放射線学教室との共同研究や学術的交流が積極的に行われている。